私のこだわり

動物に対する鍼灸治療は、だれにも受けていただける治療だとは、考えておりません。 ご自身の身体に鍼(針)をさせていただくわけではありませんので、その効果に気がついていただけない方が、かなりの割合でいらっしゃいます。あるいは、立ちあがれなかったワンちゃんが、立って歩けるようになっても、素直に喜んでいただけないこともよくあります。 飼い主さんの「治してあげたい」という声の奥には、さまざまな思いがあるのですが、この思いを通すために、ワンちゃんの命を危険にさらすような、必要のない麻酔をかけての処置などを、当然のように要求される方もあります。

鍼灸では、レントゲンや血液検査のように、数値など、はっきりと目に見えるようなものを提示することはできません。ところが残念なことに、一般には、検査で出てきた結果を何の疑いもなく信じ込み、治すことよりも、どういう診断名がつくかが重視されることも少なくありません。そして、出てきた診断によっては、薬漬けになったり、必要のない手術を受けていらっしゃる方も、よく見かけます。MRIで椎間板ヘルニアの診断を受けたダックスが、鍼だけで完璧に治ってしまうという事実は、そのひとつの例だと思いますが。

「この紋所が目にはいらぬか」と印籠を見せつけられると、それが葵の紋でなくベンツ のマークであっても、確認することなく「ははぁー」とひれ伏していますし、ひどくなると印籠ではなくケータイを出されてるのに、水戸黄門だと勝手に思い込んでみえる方も、たくさんいらっしゃいます。 このような状態は、明らかに治療の妨げになりますので、ここのところに気づいていただけない場合は、治療をお断りすることになります。

これまでの経験からいって、鍼灸治療が向いている飼い主さんとは、鍼の効果を信じているというより、「鍼灸治療を選ぶという判断を下した自分自身を、信じることができる人」だと思います。 そのような飼い主さんのために、往診治療を始めました。

現在のところ、名古屋市、三重県周辺になっていますが、遠方の方もメールでご相談ください。 鍼でどのように治っていくのか、手術を受けていることで、その後どうなるのかなど、教科書にも載っていない実態をお伝えします。